筋肉ゴリラWeb担当の虎の巻

2019年9月からスタートしたWEB担当ブタゴリラの考察あれこれです!

Googleアナリティクスの「参照元」とは?

 

Googleアナリティクスの「参照元」とは?

まず一般的に、参照元とは、流入元のサイトのことです。

例えばネット通販サイトのある商品ページの解析を行うとしましょう。もしあるユーザーがGoogle検索を行って直接その商品ページを訪問した場合、参照元Google検索となります。他のあるユーザーがFacebookの広告を見てそれをクリックして商品ページに入った場合、参照元Facebook広告となるのです。

この様に、参照元を分析することで、解析対象ページの訪問者がどこからそのページに訪問したのかがわかるのです。

ここで1点、注意すべき点があります。
Googleアナリティクスの「参照元」では他のアクセス解析ツールとは異なり、ブックマークからの流入があった場合、前回訪問時の流入元を「参照元」とします。他のアクセス解析ツールではこのような場合、『参照元なし』にカウントされます。

例えば、
1回目訪問時 : 検索エンジンから流入。この時ブックマーク登録。
2回目訪問時 : ブックマークから流入
の場合、2回目訪問時の流入は、

他のアクセス解析ツールならば『参照元なし』となりますが、GoogleアナリティクスではCookieを遡って『検索エンジン』を参照元とするのです。

Googleアナリティクスのみこの様な仕様となっているのは、少しでも情報を収集できるように、とのGoogleの考え方でしょう。『参照元なし』では流入元についての情報が全く得られませんから、分析によって得られる有用な情報を少しでも増やそうと、Cookieを遡るように設計されていると考えられます。

メディアとは?参照元との違いを理解しよう

参照元」と「メディア」を組み合わせることで、流入元についてさらに詳細なデータを得ることができます。まず、参照元とメディアの見分け方をご説明します。

参照元とメディア

画像のように、「参照元/メディア」の欄には「Google / organic」の様に2つの分析結果が書かれています。前半が参照元で後半がメディアです。

つまり、「◯◯◯ / △△△」の
◯◯◯=参照元
△△△=メディア
を意味しています。

そして、メディアと参照元の違いは以下の通りです。
参照元=具体的な流入元のサイト・ページ
メディア=流入元の種類
を表しています。具体的なメディアを以下に示します。

メディアの例

 

organic 検索による流入
referral リンクを踏んで流入
display ディスプレイ広告からの流入
cpc リスティング広告などの有料広告からの流入
cpm ディスプレイ・バナー広告からの流入
none 流入元種類が不明

この様に、メディアは流入元のタイプを示すもので、参照元からの流入の属性を示すものです。具体的な例を次章でご紹介します。

 

Googleアナリティクスでの参照元/メディアの見方

この章では、参照元/メディアの開き方、データの見方をご説明します。

まず参照元/メディアの開き方です。Googleアナリティクスを開いたら、「レポート」の下の「集客」を開きます。その中の「すべてのトラフィック」の「参照元/メディア」をクリックします。ページが開いたら右側に参照元/メディアの結果が表示されます。

参照元/メディアの結果

次に、参照元とメディアの組み合わせから何がわかるのか、具体的を見ながらご紹介します。

この様に、

  • どのサイトから(参照元
  • どのタイプの(メディア)

流入の仕方をしてきたのか、参照元 / メディアから読み取ることができるのです。

 

organicやreferralってなに?

organicやreferralという言葉を聞いたことありますか?

これらはGoogleアナリティクスの集客に出てくる言葉です。

今回はorganic search、referral、direct等の意味や違いについてご説明します。

 

 

そもそもGoogleアナリティクスの集客って何?

Googleアナリティクスの集客ではWebサイトに訪れるまでの経路の割合を知ることが出来ます。
経路の種類のことをチャンネルといい、主に以下のように分類されています。

 

  • organic search
  • referral
  • direct
  • social

 

 organic search

「organic search」は、基本的に検索エンジンの検索結果ページからの訪問を表します。
organic searchのものは「/organic」と表示され、代表的な検索エンジンの略称が付けられます。
例としてはgoogle /organic、yahoo /organicなどです。

 

 

referral

「referral」は固定されたリンクからの経路であることを示しています。
個人ブログなどの他サイト等、あるウェブサイトからのリンクをたどってやってきたという意味です。
referralもorganic search同様「/referral」で表示されます。

 

 direct

直接的な経路のことを指し、以下のようなものが当てはまります。

 

  • URLをアドレスバーに直接入力
  • ブックマーク、お気に入り、閲覧履歴からアクセス
  • メールソフトなどからのアクセス

 

 social

TwitterFacebookmixiなどソーシャルメディアからの経路を指します。

 

 まとめ

以上Googleアナリティクスの集客に出てくる用語について超簡単にお話ししました!

検索クエリとは?意味を理解しよう!

 

「検索クエリ」とは何か?理解し、混同しがちな用語である「キーワード」との意味の違いを把握しながら、適切にサイト運用することが大切です。

今回は、「検索クエリ」と「キーワード」の違い、検索クエリの数や検索クエリの調べ方について中心に解説したいと思います。

検索クエリとは

検索クエリとは、ユーザーがGoogleなどの検索エンジンを使って検索窓に入力した語句(単語、フレーズ、複合語など)を意味します。

ちなみに、「クエリ」は以下のような意味を持ちます。

クエリ(英: query、英語発音: [ˈkwɛri] 、英語発音: [ˈkwɪəri] (クウィァリ))とは、一般に一連の問い合わせの中の個々の質問を意味する。

※引用元:クエリ – Wikipedia

 

このことから、クエリは、「質問」を意味する用語であることがわかります。つまり、検索エンジンから情報を引き出すために、ユーザーが検索窓に入力した質問(語句や文字列)のことを、「検索クエリ」と言うことができます。

「検索クエリ」と「キーワード」の違い

「検索クエリ」と「キーワード」は、以下のように用語の意味に明確な違いがあります。

「検索クエリ」は、ユーザーが検索エンジンを使って検索窓に入力した語句(単語、フレーズ、複合語など)のことを意味します。

「キーワード」は、基本的に以下のような意味を持ちます。

  • 問題の解明や内容の理解の上で、重要な手掛かりとなる語。KW。
  • 情報検索で、検索の手掛かりとして使用する語句。

※引用元:keyword(キーワード)の意味 – goo国語辞書

このように、「検索クエリ」は、検索エンジンとの関わりがあってこそ意味が成り立つ用語であり、一方、「キーワード」は単にそのものでも意味が成り立つ用語であることがわかります。

つまり、検索エンジンとの関わりの有無が、「検索クエリ」と「キーワード」の大きな違いの1つと言えます。

検索クエリの数を調べる

検索クエリの数を調べるには、以下のようにGoogleアナリティクスを活用する方法があります。

Googleアナリティクスログイン後、左メニューの「集客」>「Serach Console」>「検索クエリ」をクリックします。
すると、右下に「12330」と検索クエリの総数が表示されてることが確認でき、一つの目安として活用できます。

検索クエリの数を調べる①

この機能を活用するには、以下関連記事で紹介するGoogleアナリティクスとサーチコンソールを連携させる設定が必要となります。

検索クエリを調べる(調べ方)

検索クエリを調べるには、以下2つのアクセス解析ツールを使った方法があります。

サーチコンソールで検索クエリを調査する場合

①サーチコンソールにログイン後、以下のよう左メニューの 「検索トラフィック」>「検索アナリティクス」 をクリックします。
図の右赤枠の「検索アナリティクス」をクリックでも大丈夫です。

サーチコンソール(旧ウェブマスターツール)で検索クエリを調査する場合①

②「クエリ」(デフォルト)を選択すれば、下の赤枠のよう、検索クエリを確認することができます。

サーチコンソール(旧ウェブマスターツール)で検索クエリを調査する場合②

また、上記のよう、検索クエリの「合計クリック数」「合計表示回数」「平均CTR(クリック率)」「平均掲載順位」が確認でき、検索クエリごとにデータを分析することも可能です。

Googleアナリティクスで検索クエリを調査する場合(※必要な初期設定あり)

Googleアナリティクスで検索クエリを調査する場合、まず、以下関連記事で紹介するGoogleアナリティクスとサーチコンソールを連携させる設定が必要となります。

Googleアナリティクスとサーチコンソールの連携設定が終わったら、Googleアナリティクスにログイン後、左メニューの「集客」>「Serach Console」>「検索クエリ」をクリックします。

Googleアナリティクスで検索クエリを調査する場合①


Googleアナリティクスで検索クエリを調査する場合②②「検索クエリ」一覧が表示され、「クリック数」「表示回数」「クリック率」「平均掲載順位」を確認することが可能です。

Googleアナリティクスの検索クエリが表示されない(not set)について

Googleアナリティクスの検索クエリが表示されない場合、以下のように「not set」という指標または値が示され、うまくデータ取得できないことを意味します。

Googleアナリティクスの検索クエリ(not set)について

このように、「not set」によって表示されないデータは、以下のような検索クエリが該当するようです。

Googleアナリティクス内のsearch consoleレポートで表示される(not set)ですが、下記ヘルプページの 『ユーザーのプライバシー保護の観点から、あまり頻繁に行われない検索クエリや、個人情報やデリケートな情報を含む検索クエリのデータは、「(その他)」にまとめられます。』 が、該当すると考えられます。

※引用元:検索クエリの(not set)とは – Google 広告主コミュニティ

また、検索クエリ含む「not set」について、以下関連記事でも触れてますので合わせて、ご参照ください。

Googleアナリティクスの検索クエリとオーガニック検索キーワードの違い

Googleアナリティクスでは、「検索クエリ」と「オーガニック検索キーワード」という似た指標があり、意味に大きな違いがあります。

検索クエリとオーガニック検索キーワードの違いイメージ①
  • 検索クエリ
    ユーザーがGoogleなどの検索エンジンを使って検索窓に入力した語句(単語、フレーズ、複合語など)を意味します。
    簡単に言うと、「検索結果にページが表示されたキーワード」のことです。
    ※参考:検索クエリとは
    Googleアナリティクスにログイン後、メニューの集客>Search Console>「検索クエリ」から指標が確認できます。
  • オーガニック検索キーワード
    ユーザーが検索結果からサイトへアクセスするときに使用したキーワードを意味します。
    簡単に言うと、「検索結果からユーザーが訪問したキーワード」のことです。
    Googleアナリティクスにログイン後、集客>キャンペーン>「オーガニック検索キーワード」から指標が確認できます。

このように、「検索クエリ」は、検索結果にページが表示された時点で指標として成り立ち、一方、「オーガニック検索」は、検索結果に表示されたページからサイトに訪問することで指標として成り立つことがわかります。

つまり、検索結果からサイトに訪問したか否か?が、「検索クエリ」と「オーガニック検索キーワード」の違いを見分けるポイントの1つと言えます。

検索クエリの「(other)」とは?

Googleアナリティクスの検索クエリの項目で確認できる「(other)」とは、仕様による制限や上限で残ったデータをまとめて集約した値のことです。

Googleアナリティクスの検索クエリの項目で確認できる「(other)」

このように、「検索クエリ」含め、「オーガニック検索トラフィック」や「サイト内検索キーワード」などの値の種類が多い項目で、「(other)」が表示されます。

「(other)」という値について、Google公式に以下のように言及してます。

個々のレポート ディメンション(ページ、ブラウザ、画面の解像度など)に該当する値には、数多くの種類がある場合があります。1 つのディメンションに該当する固有の値の合計数は「基数」と呼ばれます。たとえば、モバイル(ga:isMobile)ディメンションには 2 つの値(「Yes」か「No」)が該当するため、このディメンションの基数は 2 になります。他のディメンションにもさまざまな種類の値があります。たとえば、ページ ディメンションでは、サイトに表示される各ページのさまざまな URL が値になります。

値の種類が多いディメンションは、高基数ディメンションと呼ばれ、こうしたディメンションを含むレポートは、アナリティクスのシステム上の制限に影響されることがあります。その場合はレポートに集約項目 (other) が作成され、システム制限を超えたデータがその項目に集約されます。

※引用元:レポートの [(other)] 項目 – アナリティクス ヘルプ

つまり、値が多い項目(高基数ディメンション)では、以下のような制限や上限が設定されており、集計外となったデータをまとめて「(other)」の値として表示します。

日次処理済みの表のデータ制限
日次処理済みの表には、標準のアナリティクスで 50,000 行、Google アナリティクス 360 で 75,000 行まで保存されます。

ディメンション値の組み合わせが表の上限数を超えた場合は、上位 N 個の値3が保存され、残りの値の組み合わせについては [(other)] 項目が作成されます。

アナリティクス 360 でカスタム表をご利用の場合、1 日の上限数はさらに多く 100 万行までとなります。

(中略)

複数日にまたがる処理済みの表のデータ制限
(中略)
複数日処理済みの表は対応する日次処理済みの表から作成され、標準のアナリティクスで最大 100,000 行、360 で最大 150,000 行を保存できます。日次処理済みの表と同様、複数日処理済みの表の中のディメンション値の組み合わせの数が規定数を超えると、アナリティクスは上位 N 個の組み合わせを保存し、残りの値の組み合わせには [(other)] 項目を作成して対応します。

(中略)

レポートクエリの上限
レポートクエリの制限も、[(other)] 項目が作成される原因となるシステム制限の 1 つです。どのような期間が指定された場合でも、レポートに表示されるのは最大 100 万行です。100 万行を超える場合、残りの行は [(other)] 項目にまとめられます。

※引用元:レポートの [(other)] 項目 – アナリティクス ヘルプ

このように、公式に定義されてるGoogleアナリティクスの仕様で制限や上限がかかり、集計外のデータが発生することで検索クエリに「(other)」の値が表示されます。

例えば、サイト運用において、ページや文章を増やすとともにキーワードの数が増え、検索クエリの数が増えます。
検索クエリの数が増え続ければ、Googleアナリティクスの仕様で制限がかかり集計外となったデータが、検索クエリの項目で「(other)」の値として表示されるといった具合です。

検索クエリをSEOに活用する

検索クエリは、「ユーザーが検索時に入力する語句」の意味を持つとともに、欲してる情報を把握するのにSEO視点で役立ちます。

実際に検索クエリをSEOに活用するには、以下のようなツールや機能を使います。

  • キーワードプランナーを使う
    実際に検索されてるキーワードや関連キーワードから把握した検索クエリをコンテンツに落とし込み、利便性の高いページを作成しながらSEOに活用する。
  • サジェストを使う
    Googleオートコンプリート機能(サジェスト機能)やサジェスト専用ツールでわかる関連キーワードから把握した検索クエリをコンテンツに落とし込み、利便性の高いページを作成しながら、SEOに活用する。
  • 関連する検索キーワードを使う
    Google検索結果下部に表示される「●●に関連する検索キーワード」でわかる関連キーワードから把握した検索クエリをコンテンツに落とし込み、利便性の高いページを作成しながら、SEOに活用する。

このように、検索ユーザーが実際に求めてる情報が把握できる「検索クエリ」を元にコンテンツを作成し、利便性の高いページを提供しながら、SEOを進めることが重要です。


ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
Googleは、ユーザーの利便性を第一に考慮することを以下のように公式に掲げています。

  1. Google は、当初からユーザーの利便性を第一に考えています。

※引用元:Google が掲げる 10 の事実

また、別途Googleは以下のようにも言及してます。

  1. 検索エンジンではなく、ユーザーの利便性を最優先に考慮してページを作成する。

※引用元:ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン) – Search Console ヘルプ

このことから、最も重要な「ユーザーの利便性」を満たすために、検索クエリから「ユーザーの求める情報」を読み取って反映させたページを提供することが、SEOを進めるうえで大切と言えます。

 

まとめ

検索クエリから、ユーザーが欲してる情報を読み取りましょう。

ユーザーが求める情報をコンテンツに取り込み、利便性の高いページを提供しながら、上位化を目指すことが重要です。

SNSにおける「リーチ」を知り、効率よく情報を拡散しよう!

今回はソーシャルメディアの基本である、「リーチ」についてご説明します。

リーチとインプレッション

ソーシャルメディア運用における重要な指標のひとつが「リーチ」です。「リーチ」は文字通り、情報がユーザーへ到達した数値です。メディアによっても呼称は異なり、FacebokやInstagramの場合はリーチ、Twitterはインプレッションとして解析画面に表示されます。

FacebookInstagramでは「リーチ」「インプレッション」と、閲覧数に関する項目が複数存在し混乱するケースがありますので、明確な定義を確認しておきましょう。

「リーチ」は情報が到達したユーザー数、Web解析で言うところの「UU(ユニークユーザー数)」です。
「インプレッション」はコンテンツがユーザーの画面に表示されたトータル数、Web解析で言うところの「PV(ページビュー数)」です。

まずは各メディアでのリーチ数の確認手順を知っておきましょう。

Facebook

Facebookページから発信された情報は、Facebookページのファンを起点に他のユーザーにも伝播します。このとき、情報が画面に表示された状態を以て「リーチ」としてカウントされます。多くのユーザーから反応を得た投稿ほど比例してリーチ数も伸びます。また、近年のアルゴリズムの改定により、広告を活用したリーチ獲得も有効な手段となっています。

インサイト画面で「リーチ」を選択します。Facebookページ全体のデイリーリーチ数と推移が確認できます。

Facebookページ全体のデイリーリーチ数と推移また、インサイト画面で「投稿」を選択すると投稿ごとのリーチ数を確認することができます。

なお、「リーチ」のすぐ右の項目が「エンゲージメント」となっています。「エンゲージ」を分子に「リーチ」を分母にして、「エンゲージメント率」を算出することが可能です。下に掲載した投稿ごとのグラフを見ると、投稿した記事が稼いだリーチやエンゲージメントから人気のある投稿内容を見分けることができます。

掲載した投稿ごとのグラフ

Facebook広告によるリーチ獲得

Facebookページの投稿をユーザーに届かせ、リーチを獲得するために最も有効な手段は広告です。2018年初頭のアルゴリズム変更により、広告を併用していない投稿はユーザーにリーチすることが極めて難しくなっています。逆に、広告を利用すると一定数のユーザーに確実にリーチすることが可能であるとも言えます。

企業によっては、投稿のリーチ数が伸びないという原因を、投稿する画像やテキストに問題があると判断し、費用や労力をかけて投稿コンテンツを精査されているケースがあります。しかし、そもそも企業からの情報は、現状ではアルゴリズムによりリーチが抑制されているということをまず認識してください。そして、リーチ数の獲得については少額の広告を配信することで解決することがほとんどであることも知っておいてください。

Facebook広告ではリーチさせたいユーザーをターゲットと設定し配信します。興味関心・男女・年代・居住地など細かくターゲットすることが可能です。しかし、不特定多数に届けたいプロモーション色の強い投稿でなければターゲットを「ファンとその友達」に設定することをお勧めします。「ファンとその友達」にターゲット設定する理由は、獲得したファンへ確実に情報を届け、ファンを起点に口コミを生むのに最適な設定だからです。

Twitter

Twitterのインプレッションは、まず自社アカウントのフォロワーのタイムラインから始まります。自社アカウントのフォロワーがリツイートや「いいね」などのいわゆる「エンゲージメント行動」をとった場合、情報はさらに多くのユーザーに到達します。1次発信元のフォロワーが少なくても、影響力のあるフォロワーによるエンゲージメント行動により、思わぬ大規模情報拡散を生むこともあります。

Twitterアナリティクスの「ツイート」タブを選択します。Twitterアカウント全体のデイリーインプレッションと推移を確認することができます。

Twitterアカウント全体のデイリーインプレッションと推移

そのまま画面を下にスクロールすると、ツイートごとのインプレッションとエンゲージメント数、エンゲージメント率が表示されます。ツイートの内容ごとに効果を比較検証することができます。

ツイートごとのインプレッションとエンゲージメント数、エンゲージメント率

Twitter広告によるインプレッション獲得

Twitterでは広告を使ってツイートのインプレッション数を増加させることができます。Facebook広告同様、男女別・年齢別・居住地別にターゲットを設定できます。Twitter広告が特徴的なのは、類似ユーザーのフォロワーをターゲットとすることが可能な点です。同業種や類似業種のアカウントをフォローしているユーザーをターゲットとして設定し、効果UPを図りましょう。

Twitterのオーガニック運用でインプレッションを伸ばすには

他のSNSでは広告を活用してインプレッション(リーチ)を獲得することが主流となっていますが、Twitterではオーガニック運用の量と質を最適化することにより、インプレッションを伸ばすことが可能です。インプレッション数の増加策として、以下の施策を試みてはいかがでしょうか。

  • 他のユーザーへのリプライ・引用ツイート・「いいね」などのエンゲージアクション。
  • トレンドハッシュタグを活用したツイートの発信。
  • ツイート頻度の確保(1日15ツイート程度は問題ありません)。
  • エゴサーチ(自社名や商品名を検索)によって抽出したツイートへのエンゲージ。

Instagram

他のSNS同様、Instagramで発信された情報についても、一次的にはそのアカウントのフォロワーに情報がリーチします。ただしInstagramの場合は、Facebookで言うところのシェアやTwitterでのリツイートなどに類した機能はなく、情報そのものが拡散されてフォロワー以外のユーザーに届くことはありません。発信した情報を多くのユーザーに届けるためには、添付テキスト内に記載するハッシュタグの精査・投稿の影響度による検索結果への優先表示・他のメディアや広告での露出等の対策が必要です。

Instagramでのリーチ数チェックはスマートフォンからの操作が必要です。スマートフォンインサイト画面を開くと、アカウント全体でのリーチ数が表示されます。

アカウント全体でのリーチ数コンテンツタブを選択すると、投稿ごとのリーチ数が表示されます。

投稿ごとのリーチ数

Instagram広告によるリーチ獲得

Instagramの広告配信は、連携したFacebookページ広告の管理画面を利用します。ターゲットの設定等もFacebookと同様に、興味関心・男女・年代・居住地などの設定が可能です。

 

ということで、主要なSNSのリーチについてご紹介いたしました。

SNSはただ増減を確認するだけでなく、その根拠に当たりをつけて次に活かすことがやりやすいメディアです。広告を使うことを躊躇する企業は少なくありませんが、そんな企業が多いからこそチャンスであるとも言えます。ぜひ広告を併用しながらのSNS運用を試してみてください!

SNSにおける「エンゲージメント率」の計算方法は?

「エンゲージメント率」って、どう計算していますか?

ソーシャルメディアを企業が運用し効果を計る上で、重要な指標の1つが「エンゲージメント率」ですが、意外と「エンゲージメント率」の定義が人によって異なり、会話が噛み合わないということがあります。

みなさん、「エンゲージメント率」ってどんな数値だと考えていますでしょうか?

「率」というからには、なんらかの数値を分母と分子に置き、それに100を掛けた数値になります。小学校の算数ですが、分母が4で分子が1なら、答えは1/4=0.25。これに100を掛けると25。つまり「25%」となります。

では、エンゲージメント率の場合は、何が分母で何が分子なのでしょうか。

Google先生に聞いてみた。

以下のような説明がありました。

  • エンゲージメント率
    企業のFacebookページにファンとして登録しているユーザーの10人に1人が、いいね!ボタンやコメントなどの反応をしたとすれば、同企業は10%のエンゲージメント率を得ていることになる。(weblio辞書より)

  • Facebookの「エンゲージメント率」の定義
    Facebookにおけるエンゲージメント率は、投稿がリーチし、投稿に関していいね!、コメント、シェア、またはクリックした人数となっています。エンゲージメントの内訳として数えられているのは「いいね!、コメント、シェア、投稿のクリック」です。(以下、Social Media Labより)

  • Twitterの「エンゲージメント率」の定義
    Twitterにおけるエンゲージメント率は、アナリティクスの「ツイート」タブで以下のように定義されています。エンゲージメント(クリック、リツイート、返信、フォロー、いいね)の数をインプレッションの合計数で割って算出します。

  • Instagramの「エンゲージメント率」の定義
    Instagramのエンゲージメント率を計算する際、分母になり得る項目は、「フォロワー」「インプレッション数」「リーチ」の3つが考えられます。

まあ、こんな感じでいろいろです。専門サイトでも定義が分かれており、かつすべてが正解です。これでは、みなさんも混乱するのではないでしょうか。

具体的な事例で、数値の差を確認してみよう

では、「こういったサイトに書いてある方法で、いっぺん計算してみるか」というふうに思いますが、もう一歩踏み込んで考えてみましょう。

分子と分母をちゃんと考えてみましょう

分子はカンタンです。「いいね」やコメントの数、TwitterならRT数、Facebookならシェア数など、その他、各メディアの解析データで取れる「ユーザーが各投稿にアクションしてくれた数」を設定すれば問題ありません。

問題は分母です。ファン(フォロワー)を分母にするのか? 投稿のリーチ(インプレッション)を分母にするのか?

ここで具体的な事例を考えてみましょう。フォロワーは約3万人の某Twitterアカウントで、こちらの投稿では、エンゲージメントの総数が2,213でした。

 

1.「フォロワー」を分母にした場合

2,213÷30,000=7.38%がエンゲージメント率となります。

2.「インプレッション」を分母にした場合

2,213÷15,579=14.21%がエンゲージメント率となります。

ぜんっぜん違う数値が出てきますね。

もう1つ、今度はInstagramで見てみましょう。こちらはフォロワー約3,000人です。769(いいね)+12(コメント)=791(エンゲージメント数)として計算します。

 

1.「フォロワー」を分母にした場合

769÷3,000=25.6%がエンゲージメント率となります。

2.「リーチ」を分母にした場合

769÷2,175=35.4%がエンゲージメント率となります。

これも大きく差が出ています。

エンゲージメント率計算で大事なのはブレないこと

これだけ差があると、「どういうふうに計算すればいいの!?」と悩みたくなるところですが、正直どれでもいいです。もちろん「7月はリーチを分母に、8月はファンを分母に」とかブレたらダメです。でも、いずれかに統一すれば問題ありません。同じ基準で推移を確認することが大切なのです。まずは、分母と分子を明確に決め、運用の指標にしましょう。

ただ、(いつをスタートとするかが難しいのですが)日本でソーシャルメディアの普及が始まってから、まもなく約11年が経ちます。

アカウント開設初期にフォローしてくれたユーザーも、いまはもうそのアカウントを使っていない可能性があります。

ソーシャルメディアをやめちゃったケース、機種変してパスワードがわからなくなってしまったケース、環境が変わって前のアカウントを捨てたケース、など、ひとはソーシャルメディアのアカウントを捨てる動物なのです。

ですから、「ファン(フォロワー)」をベースにエンゲージメント率を計算していると、可動していないユーザーも分母に入ってしまうことに注意してください。

「でも、ウチはついこないだTwitter始めたところだから、フォロワーベースでいいのでは?」という反論もあるでしょう。ただ、この先何年も運用を継続していくとなると、やはり、エンゲージメント率はリーチやインプレッションをベースに計算したほうが、より正確であるはずです。

まとめ

もちろん、「ファン(フォロワー)」をベースにエンゲージメント率を算出すること自体は、間違っているわけではありません。

獲得したファンのうち、どのぐらいのユーザーが反応してくれたのかを見たい場合もあります。ただ、いいねやコメントなどのアクションをしてくれるユーザーは、ファンだけに限りません。

たまたま自分のフォローしているユーザーがRTしたツイートに対して「いいね」をタップすることもあります。逆に、いくら自分のタイムラインにあなたの投稿が流れてきても、まったく反応しないユーザーもいます。

こうしていろいろ考えてると、やっぱりエンゲージメント率は、「リーチ(インプレッション)」をベースに見るべきという結論に至ります。ちなみに、私は自身のクライアント様には、よっぽどの理由がない限り「リーチ(インプレッション)」を分母にしてエンゲージメント率を計算してもらうようにしています。

ユーザーが投稿にアクションしてくれた数 ÷ 投稿のリーチ(インプレッション)=エンゲージメント率

CPC、Organic、Referral、Directとは? 参照元/メディアの意味を詳しく解説。

Google Analytics(グーグルアナリティクス)を使ったアクセス解析の中でも、『どこから』『どのような経路で』アクセスされているのかを調べる事が出来るのが参照元 / メディアのデータです。

 
Googleアナリティクスの『参照元 / メディア』とは?

 
アナリティクスのメニューで『集客⇒すべてのトラフィック参照元/メディア』を選択すると、データを見る事ができます。

 

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レポート画面には、「organic」や「referral」といった言葉が並んでいて難しそうに見えますが、それぞれ言葉の意味を知ることで、人がどのように行動しているのかが分かるようになってきます。

 

どのページを経由して来たのかを知る


参照元 / メディア」データは「yahoo / organic」という組み合わせで表示されます。

f:id:RyosukeUematsu:20190903120557g:plain


左側に表示される部分では、どこを経由してアクセスが来ているのかを知ることができます。

yahoo・Google・bingなど、どの検索エンジンから人が来たのかを知ることができます。

facebook.com / referral」のように、左側にドメイン名が表示されている場合は、そのドメイン(サイト)に掲載されているリンクを経由して人が来たことになります。

(direct) と表示されているのは、別のサイトを介さずに直接訪問してきたアクセス、ということです。

例えば、ブックマーク(お気に入り)や、URLを直接入力した場合、メール内のURLをクリックした場合などが、directとなります。

 

どんなリンクを辿ってきたのかを知る

 
次は、右側に表示されている情報を見てみましょう。

organic(オーガニック)とは、検索エンジン経由で訪れた人です。

検索サイトでキーワードを入力して検索を行い、検索結果に表示された(広告以外の)リンクをたどって来た、ということになります。

例えば「yahoo / organic」ならば、「yahoo」を使って検索した人がサイトを訪れた、という意味になります。

cpcとは『Cost Per Click』の略で、Googleアドワーズやyahooリスティングなど、有料で出稿している広告をクリックして、サイトを訪れた人の数値になります。

referral(リファラル)とは、「参照・紹介」という意味で、別のサイトからのリンクを辿ってきたアクセスです。

例えばAさんが、ブログであなたのサイトを紹介し、リンクを貼ってくれたとします。
そのリンクをクリックして、あなたのサイトを人が訪れると「ブログURL/referral」と表示されます。

 

【データ例】

google / cpc  ←googleアドワーズ広告をクリックして来た
yahoo / organic  ←Yahoo!で検索して来た
(direct) / (none)  ←お気に入りや、メルマガから来た
ameblo.jp / referral ←アメブロのリンクから来た

 


さらに、どんなキーワードで検索されたのか、見てくれた人の滞在時間はどうだったか、など深く掘り下げていくことで、単なるデータではなく「人の動き」が見えてきます。

ユーザーが何を求め、どのように行動するのかが分かれば、サイトの目標を達成するための施策を講じることもできます。

企業のゴールとは? “貢献する”Webサイトのための「KGI」について

コンバージョンがどれぐらい起こるか、サイトの成績が下がっていないか、これをチェックするための指標が「KPI」だということを前回書きました。KPIはコンバージョン(ゴール)よりも手前で使うものですが、ゴールそのものの指標は「KGI」と呼ばれています。

ですが、「KGI」は、本来の意味でのゴールとは少し違うものと考えたほうがよいです。企業のゴールとは? そしてそれはウェブとしてどうあるべきか(KGI)?を改めて考えていきたいと思います。 

CVRとKGIは似て非なるもの
区分して考えられるように慣れましょう

先日ある企業人と話していたら、CVR(コンバージョン率)とKGI(経営目標達成指標)今回の本論に入る前に、少し整理したいと思います。

まず、CVRは、「Conversion Rate」、つまりコンバージョン率の略。
「顧客転換率」と訳されますが、要は「サイトを訪問した人」が「顧客」へと立場を変える、転換する割合ということです。CVRはウェブの成果を測る指標の1つですが、この「指標」という日本語がややこしくさせてるのかもしれません。
CVRはあくまでウェブ上で得られた割合(数値)を表します。
基本はパーセンテージで次の式で算出します。

コンバージョン数÷総訪問数×100=CVR(%)

例:1万人がサイトを訪問して、そのうち100人が購入した
100人÷1万人×100=1.0%(CVR)

そもそもコンバージョンとは、多くの場合「もうお客様と呼んでくれてもよいですよ」と、“訪問者自身が何かアクションを起こしたこと”を軸にして測るものです。ショッピングカートや資料請求、懸賞への応募といったフォームから、情報を送信することで、個人情報を相手に与えるということは、一種のパーミッションを与える行動で、つまり企業と訪問者が、基本的な信頼関係を結んだことになります。

もちろん、そこまで本人があまり意識していなくて、ただ「資料がほしい」「プレゼントが当たればいいな」としか考えていないかと思います。だから企業は冷静に「あなたは今、個人情報を送ろうとしているんですよ。うちではこういう目的で使いますよ」と宣言して、OKさせる必要があるのです。どんなにOKさせていても、人は、自分がウェブサイトからプレゼントに応募したことを、3週間も経つときれいに忘れがちです(笑)。いざOKしてもらった項目に従って情報を活用しても、「どこで私の個人情報を入手したんですか!」とお怒りのメールが届くこともあります…。
企業側は慎重を重ねることが必要なのです。

ともかく、コンバージョンは、「ある程度、訪問者本人が意識している行動」ということになります。ウェブ上にあらかじめ設計されている構造(送信フォーム、カートといった仕組み)だから、訪問者にもわかりやすいのは当然です。

ただしコンバージョンは、あくまでウェブ上に閉じた行動のため、企業側も実は慣れていない場合があり、手渡しで「はいどうぞ」と渡しているパンフレットを、サイト上の「資料請求」という形にしたとき、個人情報だから扱いはていねいにするにしても、活用する手だてや準備が不十分で、せっかく得られた情報をそのまま寝かせて無意味化している会社も多いのではないでしょうか。

「新商品発売」というタイミングでいざメールを送ったら、先ほどの例のように、怒りを買ってしまったり、アドレス不在で帰ってきたり・・・。本当なら、あくまで目標は「パンフレットをより多くの見込み客に渡す」ことだったわけですから、情報活用はできなくても成果としては成功し完結しているというべきでしょう。

つまりCVRは、ウェブサイトがウェブサイトとして設計され、そこで成果が出たかどうかという実態に限定された数値なのである。これはCVRを軽んじてよいという意味ではないです。訪問者の意識の上に成り立っている、ウェブサイト上に限定されている、だからこそWeb担当者はCVRに対して真剣になりますし、会社としても最も注目すべき値なのだと言えます。

KGIとは「経営目標達成指標」のこと
では企業のゴールとは何か?

一方、KGIは「Key Goal Indicator」(キーゴールインジケータ)の略です。経営の世界では、「経営目標達成指標」と訳されてきたものです。ここで言う「ゴール」にはコンバージョンも含まれるが、それだけだとは限りません。企業にとってゴールとは何でしょう?ミッションステートメントは会社ごとにさまざまですが、共通するのは株主への配当と社員の最大幸福です。その前提として「利益の極大化」がゴールだといってよいでしょう。こんな話は当たり前すぎて、退屈かもしれませんが、もう少し考えを進めていきましょう…。

利益を極大化するということは、売り上げを増やして経費を減らすことです。
これが実はそんなに当たり前ではない。売り上げ至上主義になっていて、経費がかさみ、結果「増収減益」となっている会社が非常に多いです(図1)。

図1 利益極大化のためのポートフォリオ
図1 利益極大化のためのポートフォリオ
売り上げは大切ですが、「売れれば経費はまかなえる」という経営者の期待に、現実は必ずしも伴いません。売り上げ至上主義になっていて、経費がかさみ、結果「増収減益」となっている会社は非常に多く、その場合、勝負する土俵、商品の付加価値などを見直すべきかもしれません。まずはポジションマップで自社の位置を確認してみましょう。

さらに、激しい競争が行われている業界では、シェア至上主義にならざるを得ず、値引き合戦の結果、「減収減益」でもシェアは伸びたという状態もよくあります。経営の原則では、シェアが高まれば次の段階で価格決定力が手に入り、その結果、売り上げも利益も増えるはずだからです。シェア争いに耐えるために厳しいリストラをくぐり抜けてきた企業は、この段階で大きな果実を手にするはずでした。がしかし、残念ながら、そうはいきません。価格は結局は流通に握られていて、消費者は値上げを許さない、などの事情から価格が低下し、シェアはとったが市場ドライビング力は上がらないということも多々あります。

売り上げ至上主義の会社は経費削減を考えていないという意味ではありません。
勝負する土俵、商品の付加価値などを見直すべきかもしれないということなのです。
つまり「売り上げ」「経費」の2極だけを見ているために、第3極である「対市場価値」が見えなくなっている恐れがあるのです。

さて、こういった要素を踏まえたうえで、「企業のゴールとは何か」をもう一度考える必要があります。そもそも、あなたの企業のウェブサイトは、企業のゴールに貢献すべく作られているのでしょうか?

CVRはあくまで「数値」の表出
KGIは行動のための「指標」

私に言われなくても、釈迦に説法かもしれません。
企業経営者は常に自社のゴールを意識しています。ここでまず言いたかった点は、「ゴールとは、ウェブのもう1つ奥にある」ということです。そこがコンバージョンとの違いの1つなのです。

たとえば、自動車メーカーにとって、ゴールの1つは「車が売れる」ということでしょう。このゴールの増加を反映するものとして、ウェブサイトからの資料請求があります。特に自動車などの高額商品では、資料請求と売り上げの間には比較的高い相関があります。ということは、「ウェブからの資料請求を増やせば、車が売れる」のです。
「ゴール=車が売れる」としたときに、「資料請求が増えるか減るか」がウォッチすべき「KGI」であるといえるでしょう。ゴールが奥にあり、それを反映するものとしてウォッチするというところに「KGI」は存在する。インジケータとゴールは同じではないのです。

そもそもインジケータとは警告灯・状態表示灯のこと。インジケータを見ていればすぐに変化の意味が伝わり、何をすべきかわかり、行動に移すことができます。気がついたらすぐ行動に移せる、そのとき必要な行動が決まっているというのもインジケータを使う大きな意義です。たとえば車を運転していて、ガソリン警告灯が光ったら、「残り30キロメートルぐらいの間でガソリンスタンドに入らなければ車が止まってしまう」とわかり、運転者はガソリンスタンドを探すでしょう。

これらを踏まえて、あらためてCVRとKGIの違いを確認しておきましょう。
まずCVRの「R」はレート、率、つまり1つの数値。その観点は

  • 「大きい」「小さい」という絶対値で捉えられる
  • 「伸びた」「悪化した」という変化がわかる

だけであって、「それが増えるのが、本当に良いことか」という見方や「どうしたら増やせるか」という行動は含まれていません。「量的」な意味に限定されたものだといってもよいでしょう。

一方、KGIの「I」はインジケータ、警告灯。それは、

  • 「表示されている状態」と「その意味すること」がすぐわかる
  • 「光ったらどう行動するか」が、あらかじめ決まっている

という「質的」「計画的」「行動的」なものだということが決定的な違いなのです。

つまり、「CVRが悪いがどうしたらよいだろう」という質問はありえますが、「KGIが悪いがどうしたらよいだろう」では、それはそもそも、ちゃんとしたKGIではないということになる。当たり前ですよね…(笑)

ウェブも現場的なゴールを目指すが
企業の「ゴール」は1つではない

大きなゴールは戦略の中にあります。自動車の例ばかりで申し訳ないですが、1990年前後に、オートキャンプやRVカーのブームがありました。この頃、自動車メーカーはこぞってRVカーや4WD車を販売しましたし、米国風の「SUV」(スポーツユーティリティビークル)という名称も広まるなど、少しずつ海外にも目が行きました。

これを単純にオートキャンプブームだと思っていた人も多かったのですが、自動車会社首脳に言わせれば、これはもともと世界戦略だったのだそう。自動車が売り上げも利益も拡大し続けるには、市場の開拓が必要。そのためには道路舗装率の低い開発「直前」国で売らなければなりません。砂漠、ジャングル、山岳、寒冷の国なら、そこを走れるRVカーや4WD車が必要となったです。こうした世界戦略の一端として、オートキャンプブームが国内の現象となって見えていたのです。このように戦略の一端がブームという形で現れることは多いです。

しかし、営業現場は違います。そんな深みや時間の流れに付き合うべきではありません。時代はオートキャンプだとなれば、オートキャンプを自己目的化して突き進まなければなりません。経営者の世界戦略のように、何年がかりというわけにはいかないのです。

今のウェブサイトは、より現場に近いものとなっています。
そこで目指されるゴールは、「売り上げアップ」のように、現場的・短期決戦的・自己目的化されたゴールであることが多いです。だから量的となりやすく、CVRでも把握しやすかったのだといえるでしょう。

実際には、ゴールはいくつかの「極」で形成されます。1つの極はもちろん「売り上げアップ」です。多くのウェブサイトは、売り上げアップをゴールに想定して構築されています。だが一方で、もう1つの極に「コストダウン」もあります。「売り上げアップ」と「コストダウン」が揃って初めて、図1で見たように「利益極大化のマップ」は成立するのです。

コストダウンも利益極大化に欠かせないものですが、こちらは現場の短期決戦的・自己目的的な考え方と対立することがあります。しかしたとえば、ネット以外で獲得した顧客を営業マンがケアしているフローが、ウェブ化され、営業マンの手数が減るとしたらどうでしょう。これも大きなコストダウンですよね。データベースでOne to One化していけば、さらに客単価×購入頻度×継続年数といった要素からなる「LTV」(ライフタイムバリュー)を高められるかもしれません(ただし、現場にとっては、自分の仕事や成果を持続させたいという考えに反するものと)。

あるいは、海外の安価な仕入れ先から売り込みのメールが増えれば、助かるかもしれません。これは調達や製品情報、R&Dの英語版をウェブに掲載するのが効果的です。もちろん売り上げ拡大・販路拡大にも英語版を始めとするウェブの海外対応は欠かせないものでしょう。

このように、ウェブに設定できるゴールの座標は決して1つだけではありません。
ウェブが現場的なゴールを目指すことを否定するものでは、もちろんないです。
しかし、企業のゴールはそれだけではないこともまた事実なのです。

企業のニーズとサイトの一致が重要
KGIがゴールを明確に意識させる

さらに「実際の収益」を配慮した順列組み合わせを含めて考えると、多くの状態が成立します(表1)。

表1 売り上げ/経費/収益のマトリックス
表1 売り上げ/経費/収益のマトリックス 「売り上げアップ」と「コストダウン」が揃って初めて、図1のポートフォリオのような「利益極大化」が成立します。だがゴールはそれだけではありません。「実際の収益」を配慮した順列組み合わせを含めて考えると、多くの状態が成立し、それぞれの状態における最善のゴールも想定可能となるからです。

給料のベースアップや仕入額の増加、設備投資といった要因があるので、経費を横ばいで抑えるだけでも並たいていの仕事ではありません。そのうえ、得意先からの値下げ要求もあるでしょう。

あるいはゴールの極として、もっと別の側面、たとえば企業・製品の“付加価値”を重視する場合もありますよね。たとえば、「個人株主を集めたい」という考えはどでしょう。敵対的買収に備えるために、企業のファンだから株を買い、長期的に保有しようという安定株主が増えれば、TOBは難しいものになります。安定株主は多くが一般の個人です。また、ネットでどんどん株の売買をしようというデイトレ系の人よりも、タンス株券化するタイプの人が望ましいです。

企業にこうしたニーズがある場合、ウェブサイトはどう行動すればよいのか。その目標にウェブが貢献しているかどうか、どう評価し、貢献度を高めるにはどう行動したらよいのでしょうか。

大半の上場企業のサイトで、個人投資家向けの情報は足りていないように思います。たとえば、典型的なB2B裏方型の企業がテレビCMでおもしろい映像を流して話題になることがあります(本当に黒衣をキャラにCMしている会社まであります)。こうしたことがウェブ側ではどう位置づけられ、コンテンツが形成されているでしょうか。CMコーナーに行けばそのCMが見られますが、IRコーナーにはCMと連動したイメージもなければ、別の何か個人投資家向けの情報もなかったりします。投資家向けの商品詰め合わせプレゼントが人気で個人株主を集めている有名B2C企業もありますが、そのIRコーナーにも、そうした記述がないこともあります。

経営者の戦略の中にある、他の、あるいはもっと深いゴールが、ウェブサイトにまったく反映されていないのでは困ります。現場のゴールだけでもたくさんあります。CVRでは測りにくいものも多い、企業ブランド向上といった目標もそうでしょう。たとえば「“良い大学”の学生から新卒採用エントリーを得る」というのも、「質的」という意味でCVRでは測れないものだ。

今回、ウェブの世界に「KPI」「KGI」という言葉が入ってきて、一番強く光が当たったのはこうした側面ではないかと思います。ウェブサイトに「ゴール」が作られているか? 「KGIを考える」とは、そこに照り返すものなのではないでしょうか。